VS.

2006年7月21日 (金)

『VS.』'06 8月号(22号)

表紙:題字のみ
特集:ドイツW杯総集編

 総集編ということで、巻頭で決勝と3位決定戦を採りあげ、あとは見開き2ページでひとカードをまとめています。日本の試合を含め、写真は各1枚。ゲームの内容だけでなく、サポーターの様子や風景も載せています。そしてワールドカップ引退が予想される選手を、中田英寿を含め見開き2ページで採りあげています。
 その後ようやく、ワールドカップに入る前に、中田英寿に引退を知らされていた小松成美の文章など、日本に関する文とデータが載せられ、阿部珠樹のセレソンについての記事と、大会全ゴールのデータで締めくくりです。サッカー以外の記事は一切ありません。

 日本を特別視しない編集方針は、データの〔永久保存版〕として好感が持てます。しかし表紙といい、連載や他の種目の記事がないことといい、どうも様子がおかしいと思っていたら、巻末に答えがありました。

さて、月刊「VS.」は諸般の事情により、この8月号をもちまして残念ながら休刊とさせていただくことになりました。

 月刊誌であることを強みに、読みごたえのある記事が多かった「VS.」には、マンネリズム化した「Number」よりもおもしろみを感じていただけに、非常に残念です。「Number」に〔ナンバーノンフィクション〕のコーナーを作らせたのは「VS.」だと、小生は今でも思っています。

今号の名文
◦「完璧主義であることがひとつの理由だった。理想のサッカーが常に頭の中にある。そのサッカーは常に進化している。理想に追いつこうと必死でやってきたが、現実には追いつくことは難しい。それを認めたとき、引退という結論が自然に導き出されたんだよ」>自分の身体は、自分で決める。それが中田の流儀なのだ。
 文:小松成美

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2006年5月22日 (月)

『VS.』'06 6・7月合併号(21号)

表紙:中澤佑二(サッカー・横浜Fマリノス)
特集:いま日本代表にある「危機」

 先月号に続くドイツW杯特集号Vol.2です。
 特集が3部立てになっており、第1部が(発売が15日だったので)日本代表「候補」の特集です。中でも松井大輔の記事の題が『自在〜人生、何があるかわからない』(文:田崎健太)というのが、皮肉で残念です。彼には今の中村俊輔(セルティック)のように、4年後の中心選手になってほしいものです。

 第2部は「オーストラリア代表監督読本」、フース・ヒディンクについて、またオランダの指導者についての特集です。中でもおもしろかったのが、オランダサッカー協会で指導者1級ライセンス講習を受けている、林雅人による『オランダ「戦術教本」の精緻』です。
 オランダで教えられるのはまず、システムありきではなく選手の能力にあった戦術(フォーメーションとや守備のしかたなど)を選ぶことが必要で、次に戦術に特徴を持たせること(イタリアのカテナチオ、オランダのトータルフットボールなど)が重要だということだそうです。日本代表の4バックか3バックかという議論にあてはめてみると、トルシエ日本代表の影響で、Jリーグのチームがほとんど3バックになり、日本人に(4バックの)サイドバックの適任者が少ない。ゆえに3バックで、という考えは正しいのかもしれませんが、戦術に他の国に負けない特徴があるかというと、そうとは言えないように思います。
 ほかにもこの文章には、自チームと相手チームが相対した場合、どのように動いたらよいかということが(3-5-2、4-4-2などの)フォーメーションの事例ごとに議論され、教えられることが書かれています。こうして理論的な指導、指揮ができる指導者が生まれるからこそ、多くのオランダ人が各国、各クラブチームの監督になれるのですね。

 第3部は「真の危機はディフェンスにあり」、特に宮本恒靖(ガンバ大阪)の身長で、オーストラリアやクロアチアの長身FWに対応できるのか、という視点で書かれています。この特集は結局結論がぼけてしまっていて残念なのですが、読むと、背の高い巻誠一郎(ジェフユナイテッド千葉)の代表選出が、学生時代に経験のあるDFでの起用も考えてのことではないかと、うがった見かたをしてみたくなります。

 第2部と第3部は、小生にとってまさに、かゆいところに手が届く特集でした。「VS.」は当初、メジャースポーツ以外の記事がおもしろいと思って、創刊号から買っているのですが、その力をサッカーに総動員すると、これほど読みごたえのあるものになるのですね。次号はひと月お休みして「ドイツワールドカップ総集編」を編むようなので、非常に期待しています。

今号の名言
◦「俺にとってゴールというのはすべてを前に進めてくれる魔法みたいなものなんです」
 高原直泰(サッカー・フランクフルト)文:川端康生
◦「メンバーに選ばれたらチームの力になれるように頑張りたい。4年前はかすりもしなかったですから」
 松井大輔(サッカー・ルマン)
◦「ジーコが松井を外すのであれば、それはストライカーをもうひとり増やしたいからなのだろう。そこは考え方の違いだ」
 フィリップ・トルシエ(サッカー・前日本代表監督)

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2006年4月20日 (木)

『VS.』'06 5月号(20号)

表紙:ロベルト・カルロス・ダ・シルバ(サッカー・レアルマドリー)
特集:ブラジル完全読本 ブラジルは嫌いですか?

 ブラジルは好きです。でもアルゼンチンのほうがもっと好きです。

 冗談は置いといて、今回のブラジル特集は、今活躍している選手、伝説の選手、ブラジル文化、選手の育成、データ解析と、もりだくさんです。まるで『サッカー批評』を読んでいるようです。特集ではありませんが、ACミランの選手管理システムについての記事などは、まさに『…批評』のお家芸です。こんな記事を次々と出されて、『…批評』が休刊にならないか心配です。

 ほかにも今号の記事は大変充実しています。3つ挙げてみます。
◦短期集中連載・夢はトリノをかけめぐるー最終回 東野圭吾
 トリノオリンピック日本代表の総括です。決して日本は弱くなかったことを、データを元に明らかにしています。へたな解説者やスポーツジャーナリストよりずっとすばらしく、これを新書で出版してもよいくらいです。
◦磯貝洋光「落日の伝説」。(後編) 金子達仁
 磯貝洋光の才能と、それを活かしきれずに引退した悲劇が書かれています。それが真に迫っているのは、筆者本人が磯貝に関わっているからでしょうか。
◦選ばれしもの、ダンヒルを着る 岩澤隆
 スポンサーつきの記事は、えてして面白くないものが多いのですが、これは違いました。サッカー日本代表のスーツを作る側の感想が面白く書かれていました。

今号の名言
◦「ロナウジーニョが自分の力を見せつけてカカを自然と従えるようにならなければならない。そのとき、今回の代表は伝説のチームになるだろう」
 ブラジル代表での、カカとロナウジーニョの関係について ソクラテス(サッカー・'82 '86ブラジル代表) 文:田崎健太
◦「常に動き回る必要があるDFのほうが、たとえば中澤選手のように背が高くても。体は以外に細くて、反対に、ゴール付近で強い当たりに絶対に負けてはいけないFWの選手のほうががっちりした肩幅で、むしろ体格がいいことが多いですね」
 野出寛さん 日本橋三越本店ダンヒルブティックフィッター 文:岩澤隆

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2006年3月27日 (月)

『VS.』'06 4月号(19号)

表紙:ダルビッシュ有(プロ野球・日本ハム)
特集1:Dreams of World Cup
特集2:個性を誇れ!日本野球

 今号のVS.は、かゆいところに手が届く記事が多く、非常に面白く読めました。

 特集1のサッカーでは、小生が贔屓のFW、平山相太(ヘラクレス・アルメロ〈オランダ〉)と小倉隆史の、高校卒業のころからこれからについてまでが、杉山茂樹によりインタビューを交え書かれています。リーガ・エスパニョーラでの平山相太、チームを指揮する小倉隆史、どちらも見てみたいですね。
 あのひとは移籍後どうしたのだろう?とちょうど考えていたところ、書いてあったのが中田浩二(バーゼル〈スイス〉)の記事です(文:田村修一)。左の攻撃的MFで得点感覚を身につければ、代表の左サイドバックを奪うこともできると思うのですが。

 特集2の野球に関しても、昨日書いた王貞治のほか、イチロー(シアトルマリナーズ)、工藤公康(読売ジャイアンツ)と野茂英雄(シカゴホワイトソックス)の対談など、充実しています。
 その他ヴァレンティーノ・ロッシ(オートバイMotoGPチャンピオン・Gauloises Fortuna Yamaha)とヤマハとの関わりについての記事(文:田崎健太)がおもしろく読めました。ロッシが移籍して3年目を迎えます。ロッシがヤマハを勝たせているのは事実ですが、そこにはヤマハの、勝とうとする貪欲さなしには不可能であることがよく解りました。

今号の名言
◦「記録は、たまたまですよ」
 2度のノーヒットノーランについて 野茂英雄 文:山岡淳一郎
◦「一生懸命やっています、というのはあくまでも他人から言ってもらうこと。自分の口から言うことではありません」
 イチロー 文:小西慶三
◦「オレはメジャーでも高校野球でも、打率2割7,8分の選手だからね」
 新庄剛志(野球・日本ハムファイターズ) 文:阿部珠樹

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2006年2月25日 (土)

『VS.』'06 3月号(18号)

表紙:川口能活(サッカー・ジュビロ磐田)
 スーツ着てますね。上半身裸路線は終了のようです。
特集:アウエーで勝ち抜くために
 フランスW杯日本代表についての特集です。当時のコーチ、選手の談話を取りあげています。

 今月のVS.は、独占インタビューの里谷多英(スキーフリースタイル・フジテレビ)、特集の城彰二(サッカー・横浜FC)、短期連載の工藤公康(野球・読売ジャイアンツ)など、アスリートの人生模様を記した文章がおもしろく読めました。里谷多英の写真(撮影:水谷たかひと)が色っぽくてドキッとさせられます。
 あと18〜19ページの岸本勉の写真は非常にきれいです。男ばかりですが。
 連載では、直木賞を受賞した東野圭吾のフィクション「フェイク」が新展開を見せています。先月号で、主人公の出生にかかわる謎が明かされたので、もうクライマックスかと思ったところ、今月号で謎は深まるばかりです。

今号の名言
◦「練習もいっさい手を抜きたくない。少しでも手を抜くと後で後悔するから。長野とソルトレークは本番までの過程でまったく後悔がなかった。その点ではトリノは後悔が残るかな」
 里谷多英 文:田崎健太
◦「自分のサッカー人生でいちばん辛いことは何かと言われたら、『加茂更迭』ですよ」
 長沼健(日本サッカー協会最高顧問) 文:刈部謙一
◦「がむしゃらに遊びました。野球は苦しいもので、外に楽しみがあると思っていたからです。遊ぶために野球をする。そんな毎日でした」
 4勝に終わった'89年までのシーズンについて 工藤公康 文:山岡淳一郎
◦「1年目のユニフォームは500円のTシャツに背番号をつけただけでしたからねえ。それを、Jリーグでプレーしてたような選手が文句ひとついわずに着てくれている」
 野口必勝(サッカー・FC琉球代表) 文:金子達仁

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2006年1月17日 (火)

『VS.』 '06 2月号(17号)

表紙:清水宏保(スピードスケート・NEC)
 去年までは横顔で統一していた表紙ですが、どうやら1月号の三浦知良から、正面からのにしたようです。ただ上半身裸のイメージは継続のようなので、昨年8月号の宮里藍のような女性アスリートの撮影は、気をつかうでしょうね。

特集:記憶に残る「王者」の肉体
 清水宏保、末續慎吾、琴欧州勝紀という「肉体」を語るにふさわしいアスリートの記事が載っています。先月号がサッカーに偏っていただけに、創刊当時のバランスのとれた記事配分に戻ったようで好感が持てます。

今号の名言
◦「翌日、繰り返しビデオを見て分析していたら、『この滑りではぜんぜん駄目だ』と、憤りしか感じなかった。もっと高度で緻密なスケーティングできるはずだったと、ものすごく悔しくなったんです」
 長野五輪で金メダルを取った後の満足感について 清水宏保 文:小松成美
◦「僕にとってはソルトレークシティも通過点です。あと2回くらいはオリンピックに出たいけど無理かな……」
 原田雅彦(スキージャンプ・雪印乳業) 文:後藤正治
◦「天皇杯をどうして元日にやるようになったか知ってる?近くに明治神宮あるでしょ。あそこには250万人も参拝客が来る。せめてその1パーセントでも国立競技場に流れてくれれば2万5千人になる」
 長沼健(元日本サッカー協会会長) 文:川端康生
◦「長野では氷に触れるところをブルーホーン、石同士がぶつかるところを衝撃に強いブルートレバーにして作りました。新品1個が10万円、全部で800万円かかりましたよ」
 長野五輪で使用されたストーンについて 小林宏(長野五輪カーリング競技委員長/㈱スポーティングカナダ代表取締役) 文:生島淳

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