富山めぐり(2)黒部ルート
黒部ダム駅からは、関電トンネルをトロリーバスで進んで、扇沢へ出るのが普通ですが、今回は別のルートをたどります。
富山県の要請により、平成8年から関西電力の黒部川第四発電所をはじめとする施設を、見学することができるようになりました。ただし片道30名までの定員制で、春から秋にかけてのおもに月、金曜日に行われます。申し込み方法は、関西電力または富山県のサイトでご覧ください。
そしてこのルートを見学すれば、おのずと黒部ダムから黒部峡谷鉄道の欅平まで、またはその逆に進むことができます。まずは駅の集合場所で集まり、関西電力のかたの引率により右の写真の扉の中へと入っていきます。奥にはバスが待っており、白いヘルメットを着用して出発です。
バスは、雪よけと環境対策のために黒部川の東側に掘られた、黒部トンネル(10.2km)を進みます。地図の写真でオレンジ色のラインのルートがこれにあたります。途中がれきを捨てるためにうがたれた、タル沢換気から景色を眺めることができました。

タル沢換気から十字峡方向を見る
雨のため剱岳(2999m)の頂は
雲に隠れている
再びバスに乗り、下りた作郎谷には、銀色に輝く乗り物がありました。インクラインです。傾斜鉄道という意味で、ケーブルカーとおなじものです。ケーブルカーが国土交通省の管轄なのに対し、インクラインは会社の施設なので、厚生労働省の管轄なのだそうです。中には約40名弱が座れる座席があり、おそらく見学者の定員はこの容積で決められているのでしょう。これで黒四発電所まで標高で456m落ちて下りていきます。途中のすれ違いでは、欅平方面からの見学者とすれちがいます。つまり見学時刻もこのインクラインの時刻で決められていると言えるでしょう。
インクラインを下りたところが黒四発電所でした。ここではまず会議室に案内されました。楕円形のテーブルがあり、それに囲まれた中には黒部川流域のジオラマがあります。楕円のとがった片方にはスクリーンがあり、そこでこの発電所の説明を映像で見せてもらいました。映像の途中でジオラマが動き、黒部ルートの断面が解るようになっていました。
次は発電施設の見学です。制御室をガラス越しに見た後、発電機室に案内されました。縦一列に4基の発電機が並べられ、その先端部分が出ています。まるでロボットアニメの秘密基地のようです。
右の写真が下部に取りつけられている水車です。高さを利用して時速360kmになった水を6方向から吹きつけるため、水圧に耐えられるよう継ぎ目のない鋳物でできています。
そして実際に回転している軸部分を見ることができました。ひと目見ただけで、これは触れたら危険だ、と解る速度で甲高い音をたてて廻っています。平年だと電力需要の少ないこの時期は廻っていないことが多いのだそうですが、今年は雪解け水のため水量が多いので、発電をしているとのことでした。
再び会議室に戻り昼食です。給茶器でお茶をいただき、朝調達したおにぎりをほうばります。おみやげに絵はがきと黒部のミネラルウォーターをいただきました。
発電所の見学を終えて、今度は上部専用鉄道で竪坑上部へと向かいます。定員10名ほどの車両に別れて乗り、それぞれの車両に関電のかたが乗り込み解説をしてくださいます。中島みゆきが平成14年(2002年)の紅白歌合戦で「地上の星」を歌った地点をまず通過します。ここからの中継が決定したとき、民放各局は電波を飛ばせるわけがないと信じなかったそうですが、関電の施設は通信ケーブルが張り巡らされていたため、扇沢駅前の中継車から電波を飛ばしました。皮肉なことに、録画でもないことが証明されたのは、中島みゆきが歌詞をまちがったからだそうです。
しばらく進むと列車は外に出て、仙人谷にかかる鉄橋にさしかかります。ここで下車して、外の景色を楽しむことができました。いまのところ今年の見学会でここから見られた、最もよい景色だそうです。
それにしても関電のかたがたのサービス精神の旺盛なこと。あらかじめ配付された「黒部ルート見学のしおり」には「黒部ルート見学会は、観光を目的としたものではなく…」と書かれていたので、堅苦しいものを想像していたのに、見学者の写真をとってあげまくっています。

仙人谷ダム
こちらの水を欅平の黒部川第三発電所に送る
奥は剱岳 斜めの雪の谷は三の窓雪渓

仙人谷の反対側
飛竜峡を流れるダムの水
やはり水量は多い
再び列車に乗り込み、トンネルを進みます。やがて車両の窓ガラスがくもってきます。ここは吉村昭の「高熱隧道」の舞台になったところで、かつては165℃の温度があったそうです。今では黒三発電所への送水管を近くに通したため40℃程度に下がっています。この車両も耐熱性で2006年製造、はめ殺しの窓には手動のワイパーも付けられていました。その扉を開けてくださったので、手を外に出してみると、たしかに熱と湿度を感じました。
この鉄道を造るために、過酷な労働条件の中、高給に引かれて人夫たちがやって来て、この熱や雪崩で犠牲になったのだそうです。
さて列車は竪坑上部に至り下車、展望台から白馬岳や、奥鐘山を眺めることができました。

展望台からの眺め
正面は白馬鑓ケ岳(2,903m)
正面の山が奥鐘山(1,543m)
特別名勝で特別天然記念物
斜面は幅1km高さ600m以上の
花崗岩の1枚板
展望を楽しんだ後、200mのエレベータで竪坑下部へ。エレベータには軌道があり、欅平からの車両が乗り込み、上部鉄道に乗り入れることができます。天井が高いのが印象的でした。「最近どこのメーカーですかと聞かれることが多い」とのことでしたが、シンドラー製ではなくオーチス製でした。
最後に黒部峡谷鉄道(下部鉄道)の車両に乗って欅平駅まで行きます。駅ホームの一番南側に列車は止まり、そこでヘルメットを返却して解散となりました。
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